しょうがくせい③
高学年になって、クラスも担任の先生も変わった。
他の小学校から異動してきた先生だった。
朝の会が始まり先生が話し始める。
突然「Abyちゃん、前にきて」と先生に言われた。
前に行くと、先生が肩に手を置いて、
「Abyちゃんは、お母さんが新しいお父さんと結婚して苗字が変わりました。
大変な苦労しています。
だから、みなさん、
そのことでAbyちゃんを
いじめたりしちゃダメですよ!」
え!
いまさら??
もう何年も前のことだし!
何で??
恥ずかしさと怒りが止まらなかった。
いじめられてもいないし、
私は苗字が変わったことを
みんなに早く忘れて欲しかったのに。
毎晩母の帰りを窓の前で待ち、
「離婚はみっともない」
「ダメ人間のすること」
と祖母に洗脳されていたから。
「私は普通の家族なのに!」
腹が立って、悲しくて、
その先生のことが嫌いになった。
ちょうどその頃、
わたしは遠い遠い土地に
引っ越すことになる。
この先生と離れたいって思った。
それも行く理由のひとつだった。