幸せのツツドリ
母は何十年も前から
動物園のボランティアをして、
週末ごとに通っている。
園内を案内したり、担当の動物の前で説明したり。
5年前に、母がある1匹の鳥と出会う。
壁にぶつかって弱っている鳥がいると一般の人からの通報で、動物園に運ばれてきた。
獣医さんから診断を受け、
2週間くらいかけて、
治療できるところは治療をした。
しかし、動物園の獣医さんから
「殺処分」の話を聞く。
*自分でご飯が食べられない
(お皿に入れてもそこまで移動ができない)
*食べさせてあげることが必須
*体位交換
など、をしてあげないと、
生きていくのは難しいと。
動物園ではこの子1匹に手がかけられない。
そして、自然にはもう帰れない…と。
母は、動物園の獣医さんからその話を聞かされて、治療をしている2週間の間、
毎日どうしようかと悩んでいた。
私にも毎日連絡がきた。
母「どうしよう」
私「もう決まってるでしょ?」
母「うん、そうだね。長くはないかもしれないけど、思い出を作ってあげたいね。名前は(未来ミク)にする」
少しでも未来を繋いであげたいと
母がつけた名前。
以下、ちょっぴり衝撃的な写真です。
立つことも出来ず、何とか身体を支えられている状態…。
本来の姿はツツドリと言って、森林に住んでいてあまり都市部にはいない鳥だそう。
悩んだ末に、引き取ると決めた母は、
動物園からカゴごと運んだ。
母と未来の生活が始まった。