もうひとつの土曜日
あれは、もう数十年前のこと。
モラハラ、DV彼氏と付き合っているときに、束縛も激しくあまり友人との接点をもてなかった。
当時、そのことを友人に相談したりしていて、
「もう、別れちゃいな!」
「そんな男のどこがいいの?」
「またそのはなし?」
とさんざん言われて、それでも別れない私に
友人はだんだん話を聞いてくれなくなった。
同じ学科のSくんが、友人から私のことを聞いたらしく、
顔を見ると話しかけてきてくれて、彼のことも顔を知っていたから
いつも心配してくれていた。
通学してSくんがいると少し安心している自分がいた。
男と話すなと言われているから罪悪感からいつも少ししか話せなくて
Sくん「最近、大丈夫?」
私「大丈夫」
Sくん「そっか、ならよかった」
いつもこんな感じ。
そして、もうすぐ卒業というとき、最後の試験があって、Sくんがノートを貸して欲しいという。
私はSくんにノートを貸した。
返ってきたときに浜田省吾の「もうひとつの土曜日」挟んであった。
メモとか手紙とかなく、シングルのCDだけ。
Sくんの気持ちになんとなくは気づいていた。
Sくんと会ったとき、「ありがとう」とだけ伝えた。
Sくんは、それまでと変わらない感じで接してくれた。
Sくんとは、はじまりもおわりもない。
アオハルのおもひで…